2/12(日) 【岡山県・アートの島「犬島」と刀剣の里「長船」の旅】後記

2月の半ば、今回は岡山県へと向かいました。

まず我々が訪ねたのは、岡山県瀬戸内市長船町にある、全国でも珍しい日本刀の常設展示館「備前長船刀剣博物館」。
ここ長船は、鎌倉時代の頃から中国山地で産出される良質な砂鉄を原料に刀鍛冶の本場として栄え、質・量ともに他の地域を圧倒し、また優れた刀工を多数輩出して、長年にわたり日本刀の一大産地として隆盛を極めた町です。

博物館では、特別展「大相撲と日本刀」が開催されており、土俵入りの際の太刀として、備前長船師光の大鵬をはじめ、北の湖、武蔵丸、白鵬など歴代の著名な横綱の太刀や太刀拵、化粧まわしなどが展示されていました。
(※館内撮影不可でしたので、写真はございません。悪しからず…)

博物館と同じ敷地内には鍛刀場があり、毎月第2日曜日には古式鍛練の作業が公開されています。
我々が訪れたのはまさにこの公開日で、鍛練見学目当てに多くの人が集まっていました。



約1300℃に熱された玉鋼に槌を打つ度に、周囲に火花を散らしながら少しずつ形が変わっていきます。飛んでくる火花に注意しながら間近で鍛練が見られて、その迫力と刀鍛冶の大変さを感じることができました。

ちなみに、師匠が槌を打つ合間に弟子が槌を打つことを「相槌(あいづち)」や「相の槌」と呼ぶそうで、ここから「相槌を打つ」という言葉が生まれたそうです。


また、研師・鞘師・柄巻師・刀身彫刻師などの各職人さんの工房も併設されていて、職人技を間近で見学することができました。

長船から車で30分ほど走り、岡山市の南東部に位置する宝伝港へと到着。

ここから高速船に乗ること約10分、いよいよ犬島へとやってきました。


島に上陸後まず訪れたのは、犬島のランドマークとも言える「犬島精錬所美術館」。

1909年、犬島に銅の精錬所が建設されましたが、銅価格の暴落や鉱石争奪戦などによりわずか約10年で操業を中止、その後再開することなく閉鎖されました。
しかし、その遺構は良好な形で残され、「在るものを活かし、無いものを創る」というコンセプトのもと保存・再生され、2008年に美術館がオープンしました。
館内は、電気を用いずに太陽や地熱などの自然エネルギーだけで快適が保たれる、環境に負荷を与えない建築となっており、また展示物としては日本の近代化に警鐘を鳴らした三島由紀夫をモチーフにした数々のアート作品が趣向を凝らして展開されていました。
どの作品も非常に精巧に設計されていてアートにそこまで知識のない私でも大変楽しめました。
(※ここも館内撮影不可でしたので、写真はございません。悪しからず…)



カラミ煉瓦や煙突など、かつての大規模な製錬所を彷彿とさせる遺構にただただ圧倒されるばかりでした。


続いて島内を散策しながら「犬島 家プロジェクト」を観て回りました。
これは、アートと建築が島の風景や暮らし、人々と一体となるよう展開され、5軒のギャラリーと休憩所が集落内に点在しています。
ただ鑑賞するだけでなく、その作品に入り込むこともできて、どれも面白かったです。


さらに散策していると、突如巨大な犬の彫像が!
「犬島の島犬」と呼ばれ、犬島の番犬として恒久設置されているそうです。
イヌの表面は2万枚もの小さなタイルで覆われ、その一つ一つに寄せ書きのようにコメントやイラスト等が描かれていました。


犬島は古くから良質な花崗岩の産地として知られ、大坂城や江戸城、鶴岡八幡宮の大鳥居、岡山城などにも犬島産の石が使われています。
特に大坂城の石垣(徳川の時代)には犬島産の石が多数採用され、工事を請け負った大名は自分の紋をその石に刻み込んで出荷したようで、その石のことを「定紋石」と呼んでいます。
犬島にはその定紋石の残石が残っており、左巻きに三つ巴の紋が彫られています。岡山藩主池田忠雄の求めに応じて鍋島家が犬島から切り出し進呈した巨石の残石だと言われています。

刀鍛冶の職人技、犬島のアートや風景など、非日常的な体験を一日満喫できた今回の旅。
旅の最後に、日生で特産のカキを使ったB級グルメ「カキオコ」に舌鼓を打ち、帰途につきました。

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